酒井一圭(さかい かずよし)
●俳優●大阪府出身、1975年生まれ。小学生で「逆転あばれはっちゃく」(1985)の主人公を演じる。「横浜ばっくれ隊」(1994)、「シン・レッド・ライン」(1998)などの映画に出演。「百獣戦隊ガオレンジャー」(2001)の「ガオブラック」役では明るく精悍な魅力を発揮。競馬をこよなく愛し、自身のHPやイベントなどでも活発に話題を展開。2005年秋にはプロレスに参戦。後楽園ホールでの「マッスル・ハウス」で「酒井一圭HG」としてリングに立ち、見事に勝利しました。

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>> 『酒井一圭の法則』



酒井一圭 さん(俳優) やる気モードで人は変われる!


 俳優として活躍している酒井さんは、185cmという長身でスタイルもカッコよく迫力満点です。これまでダイエットに取り組んでスリムになったり、また太ったりと体型の変化が激しいのだそうです。今回はそのダイエット心得について、じっくりお伺いすることができました。

【子供の頃から大きかった!】

 元々、肥満ではないですが下半身デブなんです。生まれたばかりな赤ちゃんの頃から大きかったんですよ。家族も両親、兄弟みんな大柄なんです。子役時代の「あばれはっちゃく」では役の上では小学6年生で、周りもその年代ばかりなのに、僕だけ実年齢は小学3年生。それくらい子供の頃からでっかかったんです。その後も本来より年上だったり、逆に若い役というのが多いですね。いつかはちょうど同年代に追いつくと思うんですが。

【オーディションで発奮】

 酒井さんが演じた特撮ヒーローのガオブラック。このキャラクターは元・力士という設定の登場人物だったので、演じるにあたってご苦労があったそうです。

 役を決めるためのオーディション会場では、本当に相撲取りみたいなデブな芸人さんなどが残っていたのですが、絶対に勝ってやる! という勢いで気合を入れて圧倒しました。その時が一番、名演技だったかも(笑)。

 撮影に入ってからは力士らしく見せるように工夫しました。下駄の予定だったんですが、キックするのに危ないのでサンダルを履いたり。もっと太らなきゃと思って、ハンバーガーをたくさん食べたりしてましたね。

【痩せるモードに入る】

 「オレは絶対、太りやすい」と自覚があると言う酒井さんですが、目標があればキッチリ痩せることができるそうです。

 ガオが終わる頃に「酒井祭」という本を出すことになって、そのためにダイエットをすることにしました。そんなふうに思い立つだけでも、ジュースは飲まない、お菓子も食べない、夜も食べ過ぎない、という生活になります。自然に体に良いものが目に入るようになりますし、運動して疲れて寝るのが気持ち良いと思うようになります。

 戦争映画の役の時なども、オートマチックに痩せてました。先日のプロレスでも、3週間の準備期間で5kgくらい勝手に痩せました。気持ちの問題で、痩せようという「モード」に入れば簡単に痩せられるんです。

【いたずら心で楽しんで】

 そしてダイエットを成功させるのには、堅苦しく努力するだけではなく、心の余裕が大事なのだそうです。

 どちらかと言うと内面的には「なるべく楽にしていたい」と思う方で、サッカーで言えばラモス選手のように「なるべくパスして、歩いてサッカーするよ」みたいな感じなんです。ジムに通ったりするより、できれば家でテレビでも見ていたい。

 そんな自分ですが、人と会って「変わった」と驚かれるのが面白いんです。ちょうどガオが終わって半年たった頃に「ハリケンジャーVSガオレジャー」のビデオ作品の撮影があって、そのシーンで痩せてるところを見せたいと思って鍛えてました。見た人に「エッ? たった半年でそんなに痩せるの!?」って言わせたい。そのための悪戯ごころなんです。

 自分が面白ければ何でもできますね。役者として何でもやってみたい。ロバート・デ・ニーロなんかに負けないですよ! いつかは身長を低くしたり……「骨削ったんだよ!」とか。片腕の役なら、本当に切るくらいな。それくらい凄かったと言われたい。映像として残せる仕事なので面白いですね。

【実はクールに分析するタイプ】

 ナチュラルに楽に行きたいと思いつつ、面白さを目指すことのためには苦労を厭わない酒井さん。実はクールで客観的に分析していくタイプなのでした。

 ダイエットしていれば、頑張ったぶん結果がでます。もちろん壁にぶつかるときもあります。最初の3日くらい、2〜3キロは直ぐ痩せる。それからはしばらく止まりますが、まず自分を知ることが大事です。20代の頃だと早く痩せるけど、30代は初動が遅いとか。

 普通に勤めている人は痩せもしないし太りにくいんじゃないかな? と思いますけどね。自分のようなフリーの職業は際限なく太りやすいけども。太っても、一周してまたチャレンジすればいい。……大変っちゃ大変ですけど。

 「この人はどうして太ってるんだろう?」と観察して考えるのが好きですね。自分が痩せるときも幽体離脱して冷静に見てる。俳優はそうなる。そういう人が俳優になる。

【人って変われるんですよ!】

 カッコいいものについての考えが表面的なとき、ダイエットの動機になります。太っていてもカッコいいと考えるときもあるんですけどね。

 今の自分じゃイヤだと思うことが大事なんです。それも中途半端より、とことん悪くなったほうがいい。落ちるとこまで落ちると、重い腰をあげるはず。心にも余裕がでる。リバウンドなんか当たり前で、また痩せればいいじゃない。「また太ってるの?」って言われるのも楽しいし。

 部屋が散らかっているのをあえてほうっておいて、限界まできたら一気に片付けるようなもので、その方が本気になるのかもしれません。  
 明るく前向きでエネルギッシュな酒井さんは、周りの人々にも強い影響をあたえています。自主映画の制作を推進したり、友人が悩んでいるとアドバイスやプロデュースをしてあげているそうです。

 変わりたい人の背中を押すことが好きなんです。「あれやれ、これやれ」と、横から見てるからよくわかるので。「そのかわりサボっちゃだめだよ」と。守れるか守れないかは自分の問題ですから。

 たまりにたまっているコンプレックスやエネルギーの充電がおかしくなっちゃってる人は、その出てる情報でわかるんです。バラまいていけばいいんですよ。「吐き出せ」と提案していく。「難しい」と言っちゃうけど、自分を変えればいいんですよ。新しいことをいろいろやること。

 例えば、髪を切ることでもキャラを変えることができます。するとメガネや服をそれに合わせるようになる。照れ臭いけど合うから、見た人からも「いいんじゃない?」となる。自信がつけば歩き方や姿勢も変わる。日陰にある植物を日なたに持っていくだけのこと。

 他の仲間にも言うんですが「俳優って自由だよ、自分が思ったことを表現していいんだよ」と。批判を気にすることもないし、賞賛に溺れることもないし。裸になることが大事なんです。